「バラ色の人生」という表現をします。自分の人生において大切な人ができて、その人が「愛する人」となって結婚して夫婦になる―こんな当たり前のこと、でも奇跡的なことが起きると、やはり「バラ色の人生だな」と思えるのではないでしょうか。
今回は(強制ではありませんが)グリーフワークもかねて解説したいと思います。
結婚生活はバラ色か
前提を覆すようで恐縮ですが、まずはじめに「本当に結婚生活はバラ色なのか」ということを検討してみましょう。結婚に至るまでには二人にしか分からない関係性があり、そこに様々な出来事があったはず。「事実は小説より奇なり」と言います。今考えるとテレビドラマのようなストーリーもあったかもしれません。
また、一見ネガティブな、二人の仲を裂いてしまいそうなことが発生したかもしれませんし、一方で、ずっとお互いに愛しあうことができたかもしれません。どちらにしてもそういうことを経て、まさに文字通り、愛を育んできたのではないでしょうか。「良いところも悪いところも全部見せあった」からこそ、より人間的な魅力が増し、お互いに惹かれあっていたのではないでしょうか。
つまり、結婚生活すべてがバラ色かと言えば、恐らくほとんどの方はそうではないと言えるのではないかと思います。(自分自身もそうですが)バラ色になるまでにはやはり色の変化(グラデーション)がありました。
色で表現するなら、例えば、出会いは最悪(黒)、何度か会ううちに興味が出てくる(黄)、お互いに好きになる(赤)、結婚する(ピンク)といったように変化があるはずです。これは人によって様々でしょう。
このグラデーションを細かく分類することによって当時の自分の心境を図ることができます。
ぜひチャレンジしてみてください。
死別したら何色か
ではここで考えていただきたいのですが、残念ながら、愛する人と死別した現在の色は何色でしょうか。
ぜひ考えてみてください。前述のように、時期によって色にもグラデーションがあります。それを無視することはできません。
例えば(多くの方がイメージするかもしれませんが)、「黒」と言ってもそこには「漆黒」、「暗黒」なんていうこともあるかもしれません。同じ黒でもどんな黒なのか?をきちんと説明できるでしょうか。
もちろん、「黒」以外でも構いません。人それぞれです。
今のこの人生はいったい何色なのでしょうか。
ちなみに私自身は「真っ黒」だったし、どちらかというと「闇」に近かったと思います。前後左右、天地も分からなくなってしまいました。
出会う前の私の人生の色
実はもうひとつ考えなくてはならないパーツがあります。
それは大切な人と出会うまでのあなたの人生の色です。
これは意外と忘れがちですが、出会う前の人生もあなたの人生です。それらが形成してきたもの(価値観等)は私たちの想像以上に大きいため、無視することはできません。
「暗い幼少期だった」ということもあれば「家族に愛されて生きてきた」ということもあるでしょうし、学生時代に親友と出会ったことで一気に明るくなった、ということもあるでしょう。人生はその人の数だけバリエーションがあります。
いったい何色でしょうか。ぜひ考えてみましょう。
私に出会う前の、大切な人の人生の色は?
そして、さらに想像してほしいことがあります。それは亡くなった人の、あなたに出会うまでの人生の色です。
いったい何色だったと思いますか?
正解は本人に聞かないと分かりませんが、これまで夫婦としてバラ色の人生を共に歩んできたなら、ある程度想像はつくのではないでしょうか。どんな生い立ち、どんな価値観、どんな生き様を持っている人なのか、そういう話をしてきて共感したからこそ結婚したのであれば、想像は難しくないでしょう。
「きっとオレンジだと思う」「たぶんグリーンかなあ」と色々と想像できるでしょう。それは楽しい作業だと思います。
それは、あの人が私に出会う前に生き生きと生きていた証でもあるからです。
私たちはそれを忘れてはいけないし、それらも全部ひっくるめて「愛する人の人生」だということです。
あなたは「愛する人の人生」をバラ色に変えた
自分の人生がバラ色かどうか。そして愛する人の人生はバラ色だったのか。
この答えはすでに出ています。二人で仲睦まじく過ごした時間は間違いなくお互いにとってバラ色だったはずです。自信を持ってこたえられるでしょう。
確かにその時間は有限だったかもしれませんが、間違いなく二人の人生において大切な時間だったことは間違いありません。
そうであるなら、あなたがあの人に与えた大切なものは確実に存在し、それが愛する人の力になっているという事です。
では翻って考えてみましょう。
あなたがあの人から与えられたバラ色の人生は、今のこの状況を生き抜くために力になっていますか?
あの人から受け継いだ考え方、価値観、そして愛情。すべてを失ったと思いがちですが、そんなことはありません。あの人の大切なものをきちんと受けとっているはずです。
今は確かにバラ色ではないかもしれないけれど、これからの人生でどんな色にするかどうかはあなたが決めることができるのです。
大切な人を失った私の人生はもはや大切ではないのだろうか?
それとも大切な人が自分と同様に大切にしてくれた私のこの人生は今も大切なのだろうか?
どちらを選び、生活することが、私があの大切な人を大切にすることになるだろうか?#死別
— dan325@若年死別者のためのグリーフ情報 griefportal.net (@dan3256) September 7, 2021
今日はそんなことを想いながら過ごしています。